いかに注目を集めて自らの価値を高めるかを考えることが大切です。それに成功してこそ、自由度が高まります。そうなれば新しい事業や新しい作品を手がけられ、そこでもまた結果を出すことができています。

ーーーーーーー村上隆著「創造力なき日本」より

 

 


 

これまで、ステートメント・プラン Vol.1では

ステートメントの役割とコンセプトを深めたいのワークなどをお伝えしました。

またVol.2では、制作プランニングの重要性、サイトスペシフィック性についても

触れてきました。  つづけて「ステートメント・プラン Vol.3」では

これまでの内容を統合しながら、

ステートメントの書き方について深掘りしてゆこうと思います。

 

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応募事項と現実

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前回お伝えしたような作品の「サイトスペシフィック」を

どれくらい求められているのか?理解しておくのは得策です。

 

その見極めは簡単。アーティストの応募事項に

「なぜこのその場所のレジデンスを応募したいのですか?」

と記載さている場合は、そのプロジェクトにサイトスペシフィック性、

つまり「環境の特性を生かして制作する意義」が

問われていると考えて間違いありません。

 

「ゆっくり制作できるなら場所はどこでもいい」

という選定基準でいると、スポンサー側との要望が合わず

どれほどクオリティの高い制作をしても残念な結果になることも・・。

 

アーティストの条件の見合ったレジデンスが見つかった場合は特に、

この点を調査しておくことをお勧めします。

応募条件に作品のサイトスペシフィック性が強く出ていなければならないのか?

このレイヤーは後々とても重要になります。

 

要するに、スポンサーサイドの

「こちらの事業や地域振興に繋がるようなイメージにあったものを作って欲しい。

成果成功を共有したい。代わりにコストはなんとかしましょう」

と言う現実をどこまで許容できるか

 

ある意味、特定の国や場所でどうしても制作したいという場合はチャンスです。

その理由を明確にし制作プランに組み込むことで、

厳しい予選を通過する際の強みになるからです。

逆に、応募事項の提出欄に、略歴と制作プラン、過去の参考作品

だけを記載の場合、サイトスペシフィック性は求められていない

と判断しても良いでしょう。

 

 

 

つづいて応募事項の書き方です。

制作プランとステートメントは、既定のフォーマットがない場合は

A4サイズ1枚に収まるよう英語で書きます。

 

タイトル(作品・プロジェクト)

コンセプト説明(端的に)

素材やサイズなど細かい表記やイメージ画

過去の参考作品・ポートフォリオ

作家略歴 /webやSNSアカウント

 

 

オランダのレジデンス経験がある友人曰く、

特に「過去作品のプレゼン」がポイントだそうです。

これがアーティストのポテンシャルの裏づけになるからです。

 

過去の参考作品がない、つまり経験が少ないと判断されると

スポンサーサイドへ新規の企画を期待させるのは難しいでしょう。

作家の分身である過去作品は“誤魔化しのない実証”です。

自分がプロジェクトメンバーとして相応しいかどうかアピールする意識も大切です。

その意欲が主催者へ伝わり、安心して選定することができるでしょう。

 

■ご参考までにスタンダードな要素です。

 

1.テーマの成熟度

2.知識量

3.技術の修得度

4.探究心

5.継続度

6.作品量

7.美意識

8.影響度

 

これらすべてを織り込む必要はありませんが

なによりもご自身が明確に伝えられることができるか?

日頃からチェックしておくことも大切ですね。

 

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だからこそ制作プラン

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上記の要素や、そこから放つメッセージは

SNSなどの個人アカウントでも過去作品を通してアピールできます。

オンライン審査が主流となった昨今では直接的な選定にはならないものの

アーティストのライフスタイルも観覧しています。

つまり、セルフ・ブランディング能力も期待されるということです。

 

このブランディングに関して苦手な方が多いようですが、

海外勢はプレゼン能力への教育も行き届いているため、

的確で大胆なアプローチに慣れています。

これをお読みのあなたも、圧倒されたご経験がおありではないでしょうか。

実際、苦手なままですとチャンスまでも逃しかねません。

日頃から興味のあるアーティスのプレゼン方法を観察し、

それを参考にプランニングするのも勉強になるかと思います。

 

また、提出資料のヴァリエーションを作れるよう意識して

柔軟に構えることも大切です。

ポイントは、「応募内容の特徴にフィットする作家であるか」どうか、です。

これは、求められる条件を満たす作品提供スキルとも言えるでしょう。

“適材適所のプランニング”ができるアーティストであることは、

独自のこだわりを捨てることではなく、持っているリソースを最大限に生かし、

キャパシティを広げる機会にも繋がります。

 

特に、支援金や滞在先のホスピタリティが充実しているプロジェクトは

“専門的な使用機材を効果的に使ってくれるアーティスト”を求めています。

自分こそが相応しいアーティストだ、と判断したら、

特定の機材に関連したポートフォリオを作り直してでも

説得力のある資料を心掛けたいものです。

 

そもそも、人気のアーティストレジデンスの募集は2〜3年応募待ちが通常です。

タイミングを読みながら、その間じっくりとコンセプトやステートメントを改善

または変更しても良いと捉えていましょう。

(レジデンス先次第ではありますが)、作家の制作コンセプトさえ変わらない限り、

資料の変更は寛容的だそうです。安心して修正してください。

 

さて。ここまで長かったですが・・・・

物凄く乱暴にいえば

「わたしはどうしてもこの方向性を突き詰める必要があるのです」

というパッションを示すことを強く意識するようにしたい、ということです。

 

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作家との相互関係

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最後にもう一度ステートメントについて。

まず、「テキスト」は作品を扱う上で大切な構成要素ではありますが、

決してこれ自体が作品ではないことを強く意識していましょう。

ときどき、ステートメントの語彙を文学作品のように

言葉表現をこだわる人がいらっしゃいますが、

その演出が総合的な戦略である場合でなければお勧めできません。

 

ステートメントは作品をより輝かせるためになくてはならないものですから、

そのポジションは重要かつ舞台裏に佇んでいる監督のような存在、

とお伝えさせていただいています。

 

もう一点、非常に大切なことは

アーティストステートメントと作品、そしてアーティスト自身の成熟度は

リンクしていると認識していましょう。

この視点から、ステートメントの奥深さは、

作品が熟成されてゆくと同じスピードでその文章も味わい深くなってゆく

と、捉えていると理解しやすいのではないでしょうか。

 

アーティストステートメントはご自身のコアになるものです。

ですので、まだ書いていない方もこれから制作をつづけていく方は必須です。

 

そもそも、作家がこれまでエネルギーをかけて創作したものは

最終的に、誰かに観てもらうための作品であるはず。

ステートメントはそれを扱う大切な文章です。

 

それでも文章を書くことに苦手意識がある人は、

まずは書く行為の習慣をつけててみるといいでしょう。

言葉として可視化することで自分の作品をより理解することができ、

その文脈が深みを帯びてゆきます。

 

外部に影響されやすい、すぐに他の作風に目移りしがち

言葉がまとまらない、などの悩みを抱えている人は

多くの場合ステートメントの深みが足りません。

 

では、奥行きがなく熟成されていない作品とどういうものでしょうか?

それは、比類のないレベルまで到達していないことを指します。

 

アート作品というのは複雑なコンテクストが絡みあって構成されています。

ですから、本来、語りつくせないのが普通だと思います。

 

ステートメントは作品を照らす “道しるべ”です。

読む人を混乱させないような配慮は必要ですが

そもそも全てを語りきれない、矛盾したものでもあります。

その物足りなさを理由にしてステートメントを完成させないのは勿体ないですし

作品に誠実であれば、自分の表現したいコンセプトを

わかちあうタイミングがやって来るものだと思います。

 

ステートメントだけを読んで作品を判断するようなオーディエンスは

いないに等しいです。

同時に、他人の創ったシークエンスを理解する熟成度もまた

作家本人と相互関係なのだと確認できるでしょう。

 

まずは、作品を輝かせるための“スポットライト”的存在として、

作者の売りと強みをフォーカスして書くと深めやすいかと思います。

 

売りと強みとは、作家のコア(軸)です。

自分のコアになっていることは何か?という思考にスイッチするのは

最初は慣れないかもしれませんが、

誰しもここを無視して飛躍的に進むことは皆無です。

 

ではどうすれば?

“あなたがあなた足らしめる構成要素とはなにか”を探求してみてください。

まずはここをシンプルに掘り下げ

過去のさまざまな価値観を削ぎ落とす作業をすればするほど

作品の世界観が熟成し、コアの純粋性へ光を当てることができるでしょう。

 

相乗効果として、いろんな演出を工夫したり

ヴァリエーションを加えて制作スタイルが確立するものです。

その肌感覚こそが今後のクリエイションをますます充実するものとなるでしょう。

 


 

まとめます。

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あなたで在るための理由

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・アーティストステートメントの必要性を再確認する

・コンセプトの掘り下げはネガティブワークがお勧め

・アーティストレジデンスの性質と選び方

・サイトスペシフィック性を考慮するポイント

・過去作品は“誤魔化しのない実証”である

・ステートメントの深みを認識する

・制作プランとステートメントの純粋性

・スタンダードな要素をはアピールする

・作品が熟成するとはどういうことか?

 

要約するとこのような内容でした。

 

では、これらを熟考する必然性はなんでしょうか?

どうして突き詰める必要があるのでしょうか?

 

思いきり私感を書くと

「アーティストをアーティストたらしめるもの」であると思います。

 

このページをお読みになる方は、

アーティストステートメントを丁寧に書くことも

コンセプトを深掘りするのも、最高なレジデンスに参加したいと計画を練るのも

制作プランを作り直すのも、芸術起業論を読むのも

耳が痛い他者の意見を聴くのも

その行為の本質は、創作者というあなたが

“あなたで在るための理由” を追求することです。

 

いつでもここに立ち返り、ひとりひとりが創作の灯を絶やすことなく

感性ゆたかな創作者であって頂きたいと強く願っています。

 

最後になりましたが

急激な変革を起こしている2020年

みなさまが安心してご活躍される日々が戻ることを心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

 

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