前回は、わたしが普段行なっている創作過程をお伝えしました。

 

簡単に言えば、脳内の無限なイメージから

欲しい五感だけをもぎ取り

最後までアウトプットをしない、というイメージ優先のやり方。

 

つまり、クリエイティヴィティの現場では一般的なラフ案や下書き、

絵コンテは必要ない、ということであり

その一番のメリットとして、表現すべき内容のストックを

制限なく持つこととが可能だから・・とお話しました。

 

フォトエッセイでも、写真表現でも原理は同じく

脳内イメージを紙に描くのは「ただの一度きり」という考え方です。

 

おさらいしたい人はこちらから▶️

 


 

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脳内で流れてくる映像を可視化メモ

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ここでお気づきかと思うのですが、

書いた文章の内容に合わせて写真を撮るということは本来、人間はできません。

 

言葉に置き換えているとき、

無自覚でもイメージは既に存在しているものだからです。 

このことから「ヴィジュアル」という総合的な情報が作られるのですし

思考は後付けのようなものと解釈してください。

  

それでも一度浮かんだイメージを作ってみたくなる衝動は

抑えずに、どんどん出すべきです。

それを実現するには遠すぎても、稚拙ではじめてでも

恐れずに出し切って行くことでしか創作の道は通じません。

  

この脳内スクリーンを具象してゆくプロセスは以下の通り。 

ラフ案(アウトプットになる絵コンテ)は最後まで書かず、

キーワードだけにとどめておく、というのがポイントです。

 

スクリーン⑴

はじめに、表現したいイメージ映像を思い浮かべます。

動画を集めてもいし、複数の写真をセレクトして

パズルのピースをテーブルに並べるようなつもりで量を意識します。

ここではストーリーを作ろうとしないこと。

バラバラでいい。ひとつひとつのイメージも未完成で大丈夫です。 

 

これを数週間から数ヶ月、繰り返します。

期限は創作によって変えればいいし

「脳内に時間はない」と意識して、貪欲にパズルのピースを揃えてゆきましょう。

 

これ以上、パズルが揃わなくなったらのタイミングです。

 

 

スクリーン

浮かんできたイメージを忘れないようにキーワードにしてメモをとるようにします。

記憶力に自信がある方はメモをしなくてもいいのですが

イメージ像のピースはいつどこで使うのかこの時点では予測できません。

できれば、浮かんだ絵が消えてしまわない新鮮なうちに

簡単に文字にしておくことをお勧めします。

※)ちなみにわたしは付箋にメモをして壁にペタペタ貼り付けてキーワードを凝縮させています。

 

「原型」となるものは、いつかどこかで見た印象深いイメージ像で構いません。

目的は、脳内で流れてくる映像を「可視化して」メモに残し

目を閉じても視えるスクリーンをぼんやり眺めるような感覚でいること。

 

たとえば、人が立っているイメージを思い浮かべたとしましょう。

その人を脳内スクリーンでよく観察します。

すると、(わたしの脳内では)その人が黒いコートを着て

後ろに水があり、その前の野原で立ち尽くしている映像が見えてくる。

その人は向かい風に髪をなびかせて遠くからこちらを向いている。

 

泣いているようにも見えるし、

怒っているようにも見える。

逆光が強く、緑が濃く、水面が金色に輝いているから

夏の終わりか秋の夕暮れだろう・・・

 

寒そうな頬の皮膚、遠く流れてゆく雲、草のかすれる音、乾燥した土の匂い。

遠くで波の音が聞こえるから海だろうか。 

わたしの背後には人の気配はなく、鳥の死骸が足元に堕ちている。 

 

こうしたメモはイメージで浮かんだ全てを文字にする必要はありません。

いま、流れてくる脳内の映像が

もう一度、再生できる最小限で構わないので前後関係なく残してゆくのが最適。

 

大切なのは、コマ割りや構図など作らず、

思考とイメージの境界線をなくしてゆくことです。

 

まるで列車に乗って窓から眺める風景を見ているように

ありのまま、そして気になった部分を観察する。

目の前の流れてゆく情景が消えてしまう前に、

五感をフルに稼働させ

網膜でシャッターを切り、

その写真を集めて記憶してゆきます。

 

急に浮かんできた鮮明な像がたくさん出てきたら

すごくうまくいっている証拠です。

イメージの中で、黒いコートの人が何かセリフを言っていたら

窓越しにその声のトーンを汲み取れるくらいリアルに。

 

 

  

 

脳内ノート 世界観を創る

 

後日、そのメモを読み返してもそこに描かれた情報だけでは

思い出せなくて残念な気持ちになることもあります。

実際、クリエイティヴ作品に昇華するには

突然降ってきたようなアイデアや記憶はあてにならないのは

あなたもご存知ではないでしょうか。

 

そのため、詳細に言葉を付け加えるようにするのです。

ひとつ。

ここで書きすぎてはいけません。

起承転結など完全に無視してしまうこと。

そして、もし小説になってしまったら破棄するくらい抽象を目指します。

 

最悪、ベタベタな絵コンテになってしまったら

すべてやり直すくらいの気持ちで

脳内イメージの印象的な映像だけを思い浮かべてはメモを取ります。

 

これを繰り返し、もうこれ以上イメージが視えない

というくらいまでノートに書き込みます。

  

やがて自分だけの、

そして、これから招きいれるべき他者が行き来する

「世界観」となってあなたの表現が立ち現れるのです。

  

ノートは何冊あっても良いし、付箋で書いても大丈夫です。

無理にまとめる必要もありません。

 

ちなみにわたしは、物忘れが素晴らしいので

キッチン、Macのデスク、リビング、トイレ、洗面台・・・

と部屋中いたるところにメモセットを置いています。

自分のしっくりくる記録の取り方を発見するのも楽しいプロセスですね。

ぜひ、「物語を書かない、脳内のスクリーンを転写」にトライしてみてください。

写真表現は特に適しているかと思います。

 

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わたしの【1年前のノートの断片】を公開します。

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朝霧、 湖、シルエット、下向き、緑の匂い

さらりと流れる木々の音、丸い光、青、わかば、遠くの青、

水に映る空のいろ、遠くで反射するキラキラ、前髪はらり、

眩しい、無心、夏の風、肌さわりはさわさわ・ふっくら木綿のハンカチのよう

マットな空気感、遠くに鳥の囁き、足もとが冷える

2秒後の足取りは右へ、水面が揺れるその向こうの景色

グラスに入ったままの水、長い指、帰省したあの人、森の残照・・・

 

 

※)これ以上丁寧にキーワード化できない、というところまで作れたら⑷へ。

 


 

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ゲシュタルトを創る

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脳内ノート ⑷  

いくつか映像を思い浮かべてメモに残したら、

表現したいスタイルに合わせた

そのラストシーンやクライマックス使いたいイメージ像を選びます。

 

たとえば、文章であれば、最後のオチになるシーンで

2〜3行書けるくらいのボリュームにまとめるのがやりやすいでしょう。

 写真であれば、何枚か集まった「イメージ像」のうち、

メインになるヴィジュアルを選択して、ここを中心軸にして展開します。

 

ここで2つの作業に別れます。

ひとつは、凝縮したストーリーに必要な量に合わせて

残った映像のパーツをつないだり、

足りなければ足したり部分的に切り捨てたりしながら、

一本15秒のCMを作るような感覚で編集してゆく構築プロセス。

文章はこれだけで完結させます。

 

もうひとつはヴィジュアルの強化。

写真表現(または絵画やイラスト)であれば

CMのメインイメージで2秒の静止画も作ります。

流れを作ったり、編集などもしません。

瞬間的でもスローモーションでも構わないので

中心になる世界観を大切にし、妙に付けくわえないように意識します。

 

 

脳内ノート ひたすら作業

文章のスタート部分は、創作したい(書きたい)文章量に合わせて決めてゆく。

短いページで作品を終える必要があるなら、

物語は突然はじまり、その唐突さを世界観に埋め込む。

つまり、スピード感があり、展開が速く

一気にラストに持ちんでゆく構成にします。

 

すでにでラストが決まっているので

書きはじめのキーワードはラストとは関係ないものを選ぶようにしましょう。

ここでパズルの量が質を決めるのです。

 

全体が引き締まったイメージで仕上げたい時と

“静かに呼吸するように”終わりたい場合をわけてキーワードを構成し

余裕があれば2作を作ってみると短いストーリーでも深みが増し

世界観を尖らせることができます。

 

写真ほか、ヴィジュアル表現の場合は、淡々と⑷の純度を高くするのみ。

その秘訣となるのは、脳内スクリーンに詰まった残りものを

いとも簡単に捨ててゆくことかもしれません。  

 

注意してほしいのは、のシーンを決めないままこの作業を進めないこと

 

クライマックスとは創作そのものであり、アーティストのシルエットです。

伝えたい世界観がここ詰まっていなければなりません。

 だからここが決まっていない創作は

作者が存在していないのと同じことになってしまうのです。

 

「美しい」と感じた瞬間から刻々と過ぎゆくイメージの羅列に翻弄されず、

コントロールもせず、

脳内スクリーンに映ったその像を繰り寄せながら

あなたのゲシュタルトを積み上げてゆく

感覚的でありながら、手応えを残し

最終的なアウトプットが完璧になるような流れを創るのが

今回ご紹介した「脳内スクリーン」の方法です。

 

しかし、毎回うまくいくとは限りません。

創作とはそういう性質のものだから

結果を求めない覚悟をしつつ、自分なりの聖域を目指したいですね。

 

次回は、脳内スクリーン方法のラスト

イメージ写真の創作について具体的にお伝えしてゆきます。

 

より詳しい内容はプライベートセッションでお伝えしています。

是非ご利用ください。

 

 

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