「かつて写真はアートか否かと頻繁に問われた。

今、わたしたちは、これらのとてつもないイメージの反乱が

そもそも写真なのか否かを自らに問わねばならない」

 

by ライアン・マッギンレー

 

 

わたしが主催する「日々是写実」のリアルセッションで

《テーマや被写体はどうやって見つけ出すのか?》

ということについてお話させていただく機会があった。

 

これについては、そもそもテーマや特定の被写体を持つ必要性があるのか?

と考えることもできる。

 

その疑問を胸に抱きつつ、どうしてもこだわりたいという意識があるからこそ

テーマや被写体を追求するのだ。

 

そこで、今回はテーマとリサーチを詳しく述べようと思う。

 

日々自己成長をのぞむアーティストたちの参考になれば嬉しい。

 

 

どのようにテーマを掘り下げて行くのか、

あるいはどのようにリサーチを行うのか?

 

 

膨大な量の日々のスナップをまとめてゆくとき、

ある共通したテーマや被写体をもとに編集作業を行うと仮定する。

 

たとえば、人工的な都市の景観をテーマにしたり、

花を被写体として選び取ったりというようなことだ。

 

テーマを深めるために考えることは色々とあると思う。

「自分が何をそこで表そうとするのか」・・・? ということもそのひとつ。

 

 

実はここで大きな注意点がある。

誰でも設定したテーマを自身の力で掘り下げるけれど、

考え過ぎて行き詰まってしまう方も多いらしい。

 

わたし自身もあるテーマについてひとりで考えるには限界がある

と自覚している。

 

そのようなときには誰かと積極的に話すようなことが

ひとつの解決策になることがある。

 

具体的には写真を見せて話すこともあるし、

単に話すだけということもある。

 

たとえばそれは、テーマと関連したことに造詣が深い人と話すこともあれば、

友人や家族であることもあって、幅が広い会見が得られる。

 

どんな場合でも、人と話していると

自分の知らなかったことや思いもしなかったことが

世の中にはたくさんあることに気がつく。

 

その気づきを手がかりにまた自分なり勉強していき、

また別の人を繋がって、その誰かと話す、というサイクルは、

わたしの制作時間においてもっとも時間を費やす時間でもある。

 

 

話す、という行為を意識的にすることで

無意識化の自分に出逢うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

ほかの写真家がなにをしたか?

調べることでみえてくることがある。

 

作品を進めて行くとき、ある程度テーマや

被写体が決まった段階で必ず行うことに、リサーチがある。

 

たとえば「パリ」を捉えた作品にはどのようなものがあるか。

 

 

写真でいうとまず頭に思い浮かぶのは、

クラシックなところではアジェ、ポール・ストランドだろうか。

日本でいうと木村伊兵衛、ほかにも数多くの写真家が

パリというテーマで切り取ってきた。

 

図書館や本屋を巡れば、そのアプローチが

どのようなものだったのかを調べることができる。

 

 

写真の題材として大変魅力があり、それだけに自らの作品として世界に提示するには

相応の研究が必要となることもわかるだろう。

 

調べるたびに、あれもこれももう既に撮られている・・・

そんな発見とも言えない心境になることも少なくない。

 

花の場合を考えてみよう。

 

ボタニカルアートのような方法を用いたものもあれば、スナップの要素があるもの、

あるいは枯れゆくさまを艶やかな色彩と構図で捉えた作品、

「重厚な階調で再現されたモノクローム」などこのテーマもさまざまある。

 

 

写真家で言えばロバート・メイプルソープ、

アーヴィング・ペン、荒木経惟などの作品が頭に浮かぶ人が多いかもしれない。

 

わたし的には、ニューヨーク在住の写真家、井津健郎さんによる

プラチナプリントで仕上げられた花の静物写真を見たときの体験を思い出す。

 

非常に豊かな階調で仕上げられたそのプリントは、

その後のプリントに対するクオリティの判断に大変影響している。

 

花もまたモチーフとしては多くの写真家に選択されたものであるといえるだろう。

 

また、写真を始めた頃に練習がてら撮影したという方もいるのではないだろうか。

個人作品の評論などを務めさせて頂くと、

花の写真は割合としてかなり多く見ることができる。

 

街やスナップ同様、作品として仕上げるには

かなりのクオリティと独自性を要求されるものであると感じる。

 

 

このようなリサーチは、すでに発表されていることと

同じことをしないという目的もあるが、

それ以上にどうすれば新たな視点でテーマを掘り下げることができるのかを

考えるためにあると考えて欲しい。

 

そうやって調べていると実は、

まだ写真になったことがない被写体をいうのは、ほとんど無さそうだ。

 

 

 

 

 

テーマにしても全く新たな発想というのは

調べてみないことには新しいかどうかわからない。

 

もし同じように考えられたものや似たアプローチの作品があれば

それを土台に考えることができる。

 

こうして、ひとつのテーマを制作したと仮定すると、

実際にはテーマを研究し進めていくことで

被写体が変更するということがよくある。

 

これは、調べてゆくうちに写真作品以上に絵画に注目することが多いのも理由かもしれない。

 

 

経験のない人は、不思議な感覚になるかもしれないが、

「自分が撮ろうとしている写真」というのは、

撮ってみないとわからないものなのだ。

 

 

はじめから頭に描かれるものではなく、

撮っているうちに思い浮かぶ場合もあるだろう。

 

被写体を深く掘り下げて取材し、考えを巡らせていると、

必要な撮影技法や機材なども少しずつわかってくる。

 

さまざまな天候、季節、それによる見え方の違いを

どうしたら写真で表すことができるのか。

光や背景をどのように選ぶのか。

 

 

ひとつのシリーズを進めてゆくには、

これら最初の選択にずいぶん時間がかかる。

そのために重要なのが《テーマの掘り下げとリサーチ》

 

 

同時に撮影を重ねて試行錯誤することで、

ようやく自分の撮ろうとしていた写真は

これだったのかと気づくことができるのだ。

 

長いプロセスを経てその1枚が撮れた時の喜びは何にも代えがたい。

 

その感情の震えがあるからこそ頑張れるというものでもある。

 

 

 

自分の作品に自信を持ち、

誰よりも理解しているのは当たり前のことだ。

 

そのためにも、良質で濃厚なリサーチは

不可欠であることを覚えておいて欲しい。

 

とは言うものの、一人では難しいという方のために

「作品テーマの見つけ方」や

「自分の作風についてのアドバイス」を受けたい方のためのSkypeセッション

 

をご用意したいと考えている。

 

ご遠方の方でも気軽にセッションを受けられるよう

Skypeとメールでコンタクトを取りつつ

今後の制作について考案する時間をご提供できたらと思う。

9月に開始予定なのでしばしお待ちくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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