桜葬
日々の泡, 抽象風景, 随想

桜葬

 

 

 

この世から魂がなくなった抜け殻を樹の下に埋める

 

その行為は、太古の昔から世界共通だと

いつか読んだことがあった。

 

 

世界には

 

 

なぜ?

 

という問いすら存在しない、理屈のない思念がある。

 

 

それは、どんな本で誰が書いたものか

すっかり忘れてしまっても

 

樹の下には、

 

屍体が埋まっているイメージだけが残っている。

 

 

四月朔。

 

わたしは、花びらが揺れる枝垂れの岸に立ちすくむ。

 

千年の老木の桜の根元には

どれだけの抜け殻が眠っているだろうかと、馳せながら

 

春のひかりの粒子を読む。

 

 

 

 

カメラを三脚に固定したわたしの足もとに

虹色に光るトカゲが動き回っている。

 

視線を降ろすと物陰にするりと入りこんで

小さな尻尾がチラリと見えているだけなのに

 

目を離すと、こっちだよ、と言わんばかりに

わたしの前をさっと横切って、

 

再び、草かげに隠れて鈍い光を放っている。

 

 

 

此方と彼方を結んでいるものの正体は、

 

トカゲの尾のように

目の前であちこちと動きまわって

七色の輝きを隠し持っているのだろう。

 

 

10年通っている奈良の老木。

 

 

精霊たちを引き連れ

朝もやに浮かびあがった山桜の下で

 

トカゲと隠れているわたしを想像していた。

 

 

 

 

 

 

 

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