読む寫眞
写真論, 随想

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@Edward Weston

 

 

 

 

「打ちのめされるため」

 

 

先日、どうして写真展に行ったり、写真集を見るべきか?

という話があったのでこう答えさせて戴いた。

 

 

 

優れた写真に巡りあったときの感動は、

飢えた感性を潤してくれる。

他者の世界を素直に漂うことができるとき、

自分で自分を縛り付けているある種の呪縛から開放される。

 

 

わたしたちが美を追いかけるもう一つの大きな理由は、

自己の審美眼レベルを高めたいからではないだろうか。

 

 

特に写真の場合、日常でさらされている「作品以下」に

囲まれているため、

時々、疲労した心の眼を洗い流さなければならない。

 

わたしたちは、感性だけを信じて写真を撮り続けるべきだ、

という考えを耳にすることが多い。

冷静になってみると、それはいかに怖いことか。

 

 

無意識に何百、何千もの大量な写真を目にし

垂れ流され、脳にインプットされる。

 

雑誌から、チラシから、新聞から、ネットから、

地下鉄の広告から、商品のパッケージから、

スマートフォンから。

 

写真として見ていないレベルで、

写真というものを毎日嫌になるくらい目にしているのだ。

そして、残念なことにわたしたちが目にするそれらの写真は

その時代の感性を100%意識した写真にすぎず、

 

「こういう感じの写真がいいらしい」という

ステレオタイプの強制力のようなものだ。

 

 

その結果、依存した表現しかできない人が多発する。

 

だからなのか、わたしが知る写真好きな人たちの写真は

どこか皆、似ている気がするのだ。

 

自分らしさを表現したいから写真を撮っているはずなのに、

多くの人達の写真と似ているばかりか

 

多くの人達が良いと思ってくれる写真を撮り

それを共有している、と思い込んでいる。

 

 

この時代に溢れているタイプ以外の写真を目指すならば、

それはやはり、努力して眼を肥やし

その刺激や感動を自分の血と肉にしてゆくしかないのだ。

 

 

特に日本は、写真史を変えた作品や、

写真を語る上で忘れてはいけない写真家たちの作品に恵まれている。

 

さらには現在注目を浴びている写真家の作品、

アンダーグランドで支持されている作家の生の作品に

 

頻繁に触れることができる世界でも指折りの最新国だということを

忘れてはいけない。

 

 

 

こんな環境にいて、井の中の蛙のままでいてはどれほど勿体無いことか。

 

 

それは例えば、世界で名の知れている写真家の作品を

パソコンの画面で見ても、

その写真がなぜ世界中の人達から高い評価を得ているのか

さっぱり分からないという場合、

 

オリジナルのプリントを目の前で見れば、

その内包されたエネルギーに打ちのめされるはずだし

 

そういう機会が日本には頻繁にある、ということだ。

 

 

真に打ちのめされれば、

自分の撮っている写真の方向も自然と考えるだろう。
とは言っても、優れた写真展が地元で開かれていない、

という人は、やはり、写真集を手にとって

日頃から洗礼の眼で見つめてみると良いと思う。

 

 

こうして時々、入門者の方にもわかりやすい

「見ておいたほうがいい」写真集をお伝えしようかと考えている。

 

 

わたしの回想も込めて綴るので、気長に待っていて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

エドワード・ウェストン(1886-1958)

 

 

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The Flame of Recognition

ニューヨークでウェストンのオリジナルプリントをはじめてみた時、

モノクロ写真がこれほどまで美しくなり得るのか

 

心の底から驚き、感動した。

 

それは涙さえ出たほど。

まるで被写体が印画紙の中から浮き上がって

わたしの手でその感触を味わっているかのように

プリントを鑑賞することができるのだ。

 

彼らは暗室の中で焼きこみや覆い焼きのテクニックを使い、

 

とことんプリントを詰めていく。

 

切り詰めて切り詰めて、限界までプリントを昇華させる。

 

この神業を持つ彼こそが、

最も革新的で影響力があると評価されている

20世紀米国を代表する写真界の巨匠だと知った。

 

ストレートな写真テクニックによるファイン・アート写真を追求する

「グループ f/64」をアンセル・アダムス、

イモージェン・カニンハムらと結成したことでも有名だ。

 

f64とは、大判カメラ最小の絞り値。

最大の被写界深度で被写体を究極的にシャープに映し出し、

その造形美を追求するという彼らの精神がストレートに伝わる。

 

この作品集は、彼の骨頂とも言えるポートレート、

ヌード、風景、静物など代表作が余すことなく含まれている。

 

また、特筆すべきは、写真作品とともに写真家の創造性を伝えるため、

ウェストンによる文章の抜粋も添えられている貴重さ。

 

彼は、人生に対する感じ方と写真的な美を

ごくストレートな言葉で提示している人でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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