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写真を始めたばかりの頃は、楽しいだけで充分だと思う。

わたしもかつてそうだった。

けれど、作品創作をつづけたりライフワークとして活動しているうちに、

真剣に相談できる人が減ってゆき

気がつくと、ひとりで行き詰まってしまう人も多いのではないだろうか。

 

こんな時に、ぜひ今回お勧めする「写真論」の本を手にとって欲しいと思う。

 

お薦めする訳は、ワークショップでわたしが伝えているように

写真そのものについて人と話したり論じたりする以前に

今までどんな視点で語られてきたのか?を知ることは大前提だからだ。

 

では、イマイチ難しそうな「写真論」とはいったい何か?

それは、「写真とは何か」、「写真に何ができるのか」

という、写真を愛する人にとって永遠に近い2つの問いかけに

答えを出そうとするのが「写真論」の本質といえるだろう。

 

おそらく多くの方たちは、そんなことは自分には関係ないと思っているはず。

 

写真集を買って眺めるのは好きだけど、

創作のインスピレーションに関連のない哲学書など

拒絶反応が出る人もいるくらいだ。

 

確かにその通りかもしれない。

難しい写真論など読まなくても写真は撮れるし、

クリエーションは、他人の論議など気にしていられないという気持ちも理解できる。

 

けれど、それは、自身の作風において考えることに主体的でない人たち。

 

その傾向は、デジタルカメラが登場し

携帯にカメラ機能がついた2000年以降になって、

より強くなっている傾向だと指摘されている。

 

それは、誰もが簡単に扱えるツールで日々生み出されていく写真たちを

わたしたちは何の疑いもなく消費しているからであろう。

 

けれど、それはちょっと疑ってもいいんじゃないか?

そう立ち止まり、振り返る時間も必要ではないだろうか、

と言うのが、わたしの意見だ。

 

 

いま、至極当然の顔をして、

わたしたちの周囲に溢れかえっている写真たちが、

よく見ると、どこか冷たくて、場のない

不気味な表情を見せることがないだろうか。

 

 

また、何の変哲もない風景や物事を収め、ごく自然に見過ごしていた写真が

不意に切実なかけがえのないものに思えてくることがないだろうか。

 

 

これらは、どちらも2011年の東日本大震災の直後に起こったことだ。

そう思い起こすと、さまざまな記憶が

あなたの脳裏を通り抜けると予想している。

 

震災に関わる人々の写真、津波や原発の事故現場の写真、

そして流失した家族アルバムを捜し求める人たちの姿‥‥‥

このような事象を目にすると、仮に写真を撮らない人であっても、

写真という媒体が、実に一筋縄ではいかないものであることがわかってくる。

 

そして、写真を自分で撮影する人にとっては

自分がなにをやっているのかをしっかりと確認するために

「写真とは何か?」と考えなければならなくなるのはなおさらなのだ。

 

そんな時、ぜひ「写真論」の名著をひもといてみてほしい。

 

そこには、あの永遠の2つの問いかけに対する

さまざまな答えが書き記されているはずだ。

 

「写真とは何か」、「写真に何ができるのか」

 

もっと言えば、名著というものは

一つの言葉の揺れに微妙に似たほかの言葉を想起させる。

読むにつれ感覚が研ぎ澄まされる時間も

あなたのインスピレーション力を刺激してくれるだろう。

 

わたしはこれらの本を再読するたびに自問し、

そして、答えを出すようにしている。

 

 

 

あなたとは何か? 

あなたに何ができるのか?

わたしとは何モノか?

わたしに何ができるのか?

 

 

 

 

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スーザン・ソンタグ「写真論」

写真の出現によって経験が歪められているというような

ネガティヴな視点から論じた写真論の名著。

 

 

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ロラン・バルト 「明るい部屋」

母親の写真を通して考察し、

プンクトゥムとストディウムという言葉で鮮やかに論じている。

美しくロマンティックな哲学書。

 

 


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ロズウェル・アンジェ「まなざしのエクササイズ」

歴史的なポートレイトを多数掲載しながら、

撮影のための批評と実践が記された豪華で実用的な一冊。

 

 

 

 

 


「読む寫眞ーⅤ」2015年11月の記事を再投稿しています

 

 

 

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