今回の記事は、随筆家としてのわたしの過去作「五感カフェ」から選抜しています。

テーマは感覚表現について。

 

写真論やアートといった概念を越え、

人間の持つ「五感」を大切に、創作のゆたかさをお伝えするのコラムです。

最後までお読みいただけますとうれしいです。

 


 

「五感カフェ」感覚派のすべての方へ

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■あいまいさがもっとも大切

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

わたしは、講習会やセッションで

感覚派のすべての方が意外に知らないポイント

「触れる、触る」ことの意識が足りない、とお伝えしています。

 

というのも、わたしたち人間の五感のなかで

もっとも感性に影響しているのは「触覚」だからです。

これは、ギリシャの哲学者アリストテレスが残した

「共通感覚理論」にあるように、皮膚にある感覚の「5番目の感覚」

「触覚」がそうであることの証明です。

 

けれど、触覚はその定義があいまいでわかりにくいのも本当のところです。

これまで「5番目の感覚」をあらわす際には

空腹感や吐き気、めまい、むかつき、疲労感など

いわゆる内臓で生じる感覚や、筋肉などの深い組織を含めて

「一般感覚」と呼ばれています。

 

簡単にいうと

「なんとなく気分が優れない」

「頭がクラクラする・・」

「ミーティング前でイライラして落ち着かない」

「週の初めは気が重い・・・」

などのネガティブな状態だとイメージできるかと思います。

しかしながら、中にはあいまいすぎて伝わらないひともいらっしゃいますし

逆に「いい感じ」「嫌な感じ」など

もっと端的に自分の言語で表現できる人もいらっしゃるでしょう。

 

これらの体感表現は確かにあいまいですが

わたしたちにとってとても身近であり、日常的に感じる大切なアンテナです。

この「アリストテレスの共通感覚」は、

現在では5番目の感覚を「体性感覚」と呼ばれ

その中にラスボスの「触覚」が含まれています。

 

実はこの触覚、単一器官によって営まれる他の4つの感覚とは違い

とっても繊細かつ複雑だということがわかっています。

 

 

それだけに重要であるということと、感じる個人差がある事実は

アート表現者や感覚優先のアーティストたちにとって

嬉しい研究テーマの一つだと思います。

 

つまり、これは感じやすく敏感であることがテーマの時代、という証拠。

今まで、社会生活で、なんとなくついて行けなかった方も

生きやすくなる時代が来ていると考えるとワクワクするかもしれません。

 

しかし・・・ここが誤解され軽視されていることも事実です。

 

今回のコラムでは、こうした背景を踏まえ

「感じること」「触ること」「触られること」について

もう少し掘り下げてお伝えしてゆこうと思います。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 触ること  触られること

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まず、五感の中のラスボス、触覚だけをじっくり考えてみましょう。

 

わたしたちは脳ではなく、肌や触覚を通して

物事を考えコミュニケーションをとっていると書きましたが

それは一体どういうことでしょうか?

 

例えば、なにかの感触について「ざらざらする」と言ったとき、

実際に皮膚で何が生じているのかまだ正確にはわかっていません。

けれど、不思議と「その感覚」はわかりますし、

ちゃんと相手にも伝わるものだと誰もが知っているでしょう。

 

さらに「ふわふわしている」「ツルツル」「すべすべ」

「ジワジワくる」「シュッとする」など

わたしたち人間のコミュニケーションの手段は、

こうした擬音から感じる映像や音声に限ったことではありません。

これらは、とても巧妙に、記録とイメージで出来上がっています。

 

では、次にコミュニケーション・イメージとは何かと考えてみましょう。

例えば「愛」というのは頭の中だけでは妄想と変わりませんね。

「愛」という概念のことだけになってしまいます。

 

本当のコミュニケーションとは、

やさしく髪をなでれば安心するように

例え自分で頭を撫でても気持ちがいいように

手を握りあえば心が通じるように

その先には触覚がある・・・・のです。

 

結論からいうと、そのような能力のことだと知っていてください。

そして、わたしたち人間は皆、

生まれながらその大切な能力を持っているのです。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■ 触覚の他の感覚との大きな違いは?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

触覚がどれだけ重要な感覚か?なんとなくでも伝わったでしょうか。

ここまでお読みになってでわかることは

日頃「五感」と現されているわたしたちの感覚とは

実は、《触覚 + それぞれの4つの感覚(味覚・臭覚・聴覚・視覚》

だということにお気づきになると思います。

 

つまるところ、この素晴らしい体感能力を持ったわたしたちが

「感じる」を研ぎ澄ますの本質は、

相互作用である5つの感覚すべて流れを良くするという意味です。

 

ここで問題になってくるのは、感覚を鈍くする環境や考え方、

見るもの聴くもの味わうものなど

日々無意識に感じ取ってしまっていること。

現代人にとってこのようなノイズ(と感じるモノコト)は避けられません。

知らず知らず自分の中にはびこってしまった余計なものをクリアにして、

純粋な感覚に近くするように心がけてゆくことも課題となりそうです。

 

そして、この発想が、感度を高める近道と言えるとわたしは考えています。

 

皆様はいかがでしょうか?

 

つづきは「5つの感覚の大きな違い」についてお伝えします。

 

 

解説)アリストテレス(BC380-322ごろ)は月食の時に映る地球の影が丸いこと、

北から南へ移動すると星の位置が変化して見えることにより、地球は球体であると説明しました。

名前の由来は古典ギリシャ語の“aristos”(最高の)と“telos”(目的)から来ています 。

 

 

 

 

IDEA ART BOOK

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です