微睡み
抽象風景, parisphoto

微睡み

 

 

ランボーの詩集を読み終わると

わたしはいつもうんと早起きをする。

 

 

そして、明け方の朝の

無垢で真っ白で広い

世界のルールの外にいるような

あのしんとした時間をたっぷりと漂う。

 

 

うんと早い朝は、世界のスピードが正常になっている。

 

 

遠い空の銀のような薄白い明るみが

星たちのまどろみを消し去ってゆく速度が見える。

 

 

わたしはリビングのソファで

冷たいレモン水を飲みながら

まだ眠っている首筋をそっとなぞって

今日もまた世界が明けていることを確認する。

 

 

そして、この限られた時間枠だけに与えられた

真空管のような静寂につつまれ

 

わたしを無人の惑星に取り残されたようにさせる、巨大な虚無を受け入れる。

 

 

裸足で外に出てゆく。

 

どこへ行っても明けたばかりの空の下で

誰にも、どこにも結びつけずに

孤独に漂っているような顔をしている。

 

 

冷たい風は心地よく、植物は朝露に濡れ、

路地にわたしの足の裏の冷たさだけが残され

世界は誰のものでもなくなる。

 

 

自己主張の強い市民もお喋りをやめて死んだように眠っている。

 

 

わたしが本当に生きているのはこの星が溶けたあとの

僅かな時間だけで、

あとの残りは暇つぶしのようだ

 

そう言うとあなたは、

たっぷりの静寂を沁みこませた身体を抱え

 

朝以外の残りの時間を、生活のために、

虚しい夢のつづきのような靴を履いて出てゆく。

 

 

 

振り向いて、幸せだよ

と嘘をつく。

 

 

死んだ後の世界のような、

きれいでしんとした朝の果てで。

 

 

 

 

 

 

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