Model : 心月 mitsuki

真冬だというのに、遠くから花火の音が聞こえてきた。

 

東の空を見るとその低い位置にオレンジ色の小さな粒子たちが

音もなく開いては闇に消えていった。

 

何秒も経った後、

ひゅうと冬の静けさに消え入るような音がした。

淡い淡い音のかけらだ。

 

しばらく沈黙が続き、また別な小さな光の輪が無音で、

開いては消えた。

眼鏡を外しているせいか、よけいに淡く見えた。

 

わたしは、ベランダから見える冬の花火を前に、

「美しい」という語彙は似合わないと思った。

 

その闇の彼方に小さく開いては消えたおぼろげな無音の光と、

少し遅れて届くやわらかな火薬の音

間にある深い沈黙は、

一年という月日の、はかなくも美しい記憶みたいだ。

 

 

 





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