即興のお戯れ
日々の泡, 抽象風景, 白黒写実, 随想

即興のお戯れ

 

 

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お戯れ、と呼んでいるものがある。

 

お昼どきの、ちょっとした気晴らしに

インスタグラムを投稿するのを今春からはじめてから

その時間をこう呼ぶようになった。

 

 

そして、文字通りこれはお遊びだなと思いながら

SNSの投稿自体、何かに似ているなとずっと気になっていた。

 

 

フレーミングがその一つだ。

 

正方形で、横3つの並び絵は実に日本的ではないか。

 

市松模様のようなデザインを意識して更新する人々が

一定数いることを考えると、

フレーミングに対しする集団無意識が作用して

プログラミングされているように感じる。

 

 

歴史的にみると写真は「絵画」というジャンルに接続され

そこから独自の文化を開花させたと習ってきたが、

 

日本に限っては、実はそれは教科書どおりではない

とわたしは思っている。

 

 

そもそも写真という新たな形式を

そうですか、とすぐに委ねられるような

「絵画」の伝統を日本は持っていなかった。

 

 

では、どこが日本的なのかと問われると、それは

 

日本の写真感覚は「俳句」を詠むのと

似ているのではないかと思うのだ。

 

なかでも趣味がカメラといった風の若い男子や

ふわゆる女子カメラを自称する現代の文脈に明確に現れている。

 

 

流れてゆくSNS上の絵を見ていると、

 

誰もかれもが同じような被写体を撮り

同じような構図と色でまとめている。

 

わたしには不思議でならないが事実だ。

 

 

だいたい、なぜ季節やナチュラリズムをやたら写したがるのか。

 

もっと言うと、なぜそこに

ちょっとした自分の「気持ち」をこめてみたりするのか。

 

 

彼ら彼女らは、キレイに写真を撮ることや

感覚で楽しむことを知っているのは理解できる。

 

しかし、なぜ、切り取ったその一瞬の中に

ひそやかに自分の思いを滲ませたがるのだろう。

 

そういう「ちょっとした」中途半端な心象表現が

独特に日本的で、作法のようにも感じられ、

いよいよ俳句的に思えてしまうのだ。

 

マンハッタンの友人がそれについて話してくれた。

 

「日本人のように、リタイアした愛好家が集まって

軽井沢あたり出むいて、そこで一緒に撮った写真を

みんなで講評するような文化はどこにもない」

 

 

確かに、そう思う。

 

ここにも俳句の影響を見て取れる。

 

 

一句読んで友だち同士で「いいね」などと講評する。

 

若い頃からこうした感覚を持っているとすれば、

彼らが年を重ねた時に、同じような現象に向かうのだろうか。

 

 

こうした「みんな仲良くお披露目会」様式は

スマホで撮影してSNSにアップするというルーティンが

一般化したことで一層強化されている。

 

 

わたしが言いたいのは、

講評される前提で撮られシェアされる写真は

自己表現のようでいて、実は全くのNONということ。

 

 

単純に類型化されたコミュニケーションツールである以上、

そこにはお決まりごとがあり

無遠慮に自己表現をすればいいというわけではない。

 

というか、できない仕組みになっている。

 

 

インスタグラムを見ていて思うのは、

写真の存在が極めて限定性の高い

「五七五的な世界」と

同じ形式になるのは自然の法則だ。

 

 

これは、日本に限ったことではなく世界的な現象としてある。

 

欧米などでは「表現わかりやすさ」「自由さ」に

この日本的感覚を斬新に受けとめるかもしれないけれど

 

わたしたち日本人にとっては、茶道や華道、

俳句や歌といった文化表現は江戸時代にはすでに

「わかりやすさ」の様式美が染み付いている。

 

それゆえ「表現のシェア」に関して日本人には案外、

馴染み深いかもしれない。

 

 

DNDに刻み込まれた様式美として、

ある種のたしなみのようにこの手のツールを使いこなすのが得意なのだ。

 

わたしはそこに、「余白の美」があるように思う。

 

 

 

では、わたしたちの血に眠る「俳句」とはなんだろう。

 

Wikipediaを調べてみてわたしはニンマリした。

 

 

【俳句評論家の山本健吉はエッセイ「挨拶と滑稽」のなかで、

俳句の本質として3ヶ条をあげている。

 

これが有名な「俳句は滑稽なり。俳句は挨拶なり。俳句は即興なり」である。】

 

 

わたしが「お戯れ」と呼ぶ所以はこの言葉から頂いた。

 

 

ライチタイムの束の間の即興。

 

 

あなたの心の余白はどんなお遊びで彩られるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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